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【吟遊詩人】♪メリポの果てにみた夢♪【第七十楽章】

765 名前: 名も無き軍師 投稿日:2005/03/25(金) 01:36 ID:8mBGg8yc
758 名前: 名も無き軍師 投稿日: 2003/03/10(月) 17:30 [ eK0cVUb. ]
   薔薇色の人生(中編)

その日は運良く、朝から仕事に在り付けた。ダボイ狩りのPTだそうだ。
リーダーのナイトに二つ返事で返すとゴブ屋に骨の矢を買いに走った。

高い矢は使えない・・・ だが全力でPTに貢献する事が私の唯一のプライドでも
あった。

狩りは順調に進み夕暮れ時に差し掛かり解散間近でリーダーのナイトからTellが入った
「今日の活躍は素晴らしかったです。今度HNM討伐に行くのですが良かったら
力を貸してもらえませんか?」

素直に嬉しかった。自分の努力が認めらたと感じられた。私はありがたく参加の意思を
表明すると、後ほど連絡するとの事でその日のPTは解散となった。

・・・私は考えた HNMキラーの称号を手に入れれば自信が付くのではないか?
もし運良くレアアイテムを手にしたならばこの貧乏生活から抜け出せるのではないか?
そして彼女へのプロポーズも巧くいくのではないか?

私は家の金庫を引っ掻き回した。HNM戦に骨の矢は辛い。ポーションも欲しい。
ギルだ!ギルが必要だ!・・・だが金目の物は何も無かった。
親父が「何をしているんだ?」と訊ねてきたが親父に金の相談を持ちかける訳にもいかず
「なんでもない」と答えると親父はジッと私の顔を見ると何も言わず出て行った。

ギルの工面も付かぬまま床に付こうとした時、親父が帰ってきた。
両手に抱え切れんばかりの炎の矢とエウリュトスボウを持って・・・
「いったいどうしたんだ!?」私が焦って親父に問いただすと、静かに口を開いた
「獣のカンってやつだな・・・お前は今、人生の転機に差し掛かっている、親として
できる事はこれ位さ」親父の顔を見ると、私は気が付いた、親父が肌身離さず付けていた
母の形見の血玉のピアスが無い事に・・・
「俺はどうやら人生の転機って奴に失敗したらしい。お前はしくじるなよ」
俺は「ありがとう」その言葉しか言えなかった・・・

・・・そしてナイトからのTellが入る
「明日、決行です」          つづく

767 名前: 名も無き軍師 投稿日: 2003/03/10(月) 17:58 [ eK0cVUb. ]
   薔薇色の人生(後編)

・・・どうしてこんなことになったんだ。夕暮れのジュノを一人歩く・・・
もう思い出したくも無い・・・

HNM狩りのメンバーが集まってリーダーが言った。「狩人さん、TP用の雑魚集め
頼みます」・・・何を言ってるのだコイツは!私は納得しなかった。私は自分の弓の
強さを必死にアピールした。リーダーが言った。
「解りました。戦闘に参加されて結構です。ただし役に立たないと理解したら、雑魚集めを
して下さい」

・・・すぐに理解できた、エウリュトスで弾かれた炎の矢は、シムルグにカスリもしなかった。
溜めていたTPでサイドワインダーを放つも当たりはしない・・・当たらない・・・当たらない・・・

私は静かにPTを離脱し、ジュノへ逃げ帰った・・・

家へ逃げ帰ろうとする私の前に白魔の彼女がいた。「いきなりいなくなったと聞いたから心配して」
・・・だれから聞いたのだろう「無事みたいね 安心したわ」・・・怪我をするはずもない。
「・・・どうして知っているの?」不思議に思い尋ねた私に彼女はこう言った。
「リーダーのナイト あれ私の婚約者なの、あなたいつも寂しそうに立っていたから
誘う様に私が頼んだの。」
「本当はあっちで渡そうと思ってたんだけど」彼女が白い封筒を差し出す。
「これ結婚式の招待状良かったら来てね。ジュノでやるの」
彼女はそう言って足早に去っていった。結婚式の準備で忙しいと言い残して・・・

『彼女が私に持っていたものは愛情ではなく同情でした』

私は使う事の無かったエウリュトスボウを売り払うと、サーペンタインガンを買った・・・

晴天の空の下、教会の祝福の鐘が鳴り響く。鐘の音が鳴り終わると、狩人はこめかみに
当てた銃の引き金を力強く引いた。


「ターン」



広がる真紅の鮮血。
その色はまるで薔薇の花のようでした・・・

薔薇色の人生 完