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【吟遊詩人】♪メリポの果てにみた夢♪【第七十楽章】

786 名前: 496 投稿日:2005/03/26(土) 21:17 ID:OwL1Q6tc
団欒が一瞬で凍りつく。
無言・・・。
悲しげなお袋、そして静かに杯を置く親父・・・。

だがそれは長い時間を必要としなかった。
親父は烈火の如く怒り、文字通りファイガIIIの詠唱を開始し
お袋は泣きながらサイレスを唱えて間に入ってくれた。
 「もうお前とは親でもなければ子でもない!二度と戻ってくるな!」
そう言って背を向けた親父。
リージョン奪回戦役で多くの戦友を失っても凛としていた親父。
その親父が泣いたのをはじめて見た。




ジュノに旅立つ朝、お袋は見送りに来てくれたが
親父の姿はなかった。 
当然だ、親父の期待を裏切ってしまったのだから。
ちょうど入港した飛空挺に乗り込もうとしたとき
お袋が大事そうにノートを3冊渡してくれた。
一冊は新品だったが二冊はボロボロだ。
 「これ・・・は?」
 「こっちのはお父さんの。ほら、あの人研究熱心だから・・・。
  結婚するまえから書いてたらしいわ。モンスターの弱点属性とかが書いてあるって。」
 「こっちのはね、母さんのノート。モンスターの特殊攻撃とか
  特徴なんかを書いてあるの。私は結婚してから書き始めたんだけど。」
パラパラとめくると二冊とも細かい文字でびっしりと埋まっている。
 「これ・・・まだ必要なんじゃないのか?写しじゃなくて原本じゃないか・・・」
お袋はただ笑っていた。
 「・・・この新しいのは?」
何も書かれていない、真っ白なノート。
 「それは自分で書き記すため。そのノートに自分の道を標しなさい。」
ベルが鳴ると、お袋は小さなかばんも持たせてくれた。
そして出港、バストゥーク港がどんどん小さくなっていったが
お袋の姿はずっと見えていた気がした。

安定飛行に移った頃にかばんを開けてみた。
バードホイッスルとカモミールティー、
それに呪符リレイズ・呪符デジョンとメモが入っていた。
  
  母さんも父さんも詩人はよくわからないから邪魔かもしれません。
  不要なら生活資金にしてください。
  
呪符の作成者欄に親父とお袋のサインがあったのは言うまでも無い。
輝く朝日を受けて飛空挺は飛ぶ。
ジュノを目指して。